置き傘と通り魔

昨夜未明、通り魔事件が発生。被害者は山本隆さん（35）教師。現場には「タカシ、がんばれ！」などと書かれた傘が残され、指定暴力団「天鷹会(てんようかい)」構成員の他、複数の指紋が検出。関連性を調査中。

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テストの採点を終えると外は暗い。時計を見て飛び上がる。今日は自分が試される日。ポケットの指輪を確認する。出来れば、はなまるが貰えるといいんだけど。
昇降口、雨に立ち尽くす。生憎、傘がない。
助け舟をくれたのは校長だった。

「これよかったら。忘れ物なので。」
「明日、必ずお返しします。」

傘を開くと落書きに背中を押された。話したら君は笑うだろうか。夕立の中、駅まで急ぐ。

信号待ちの横断歩道、脇腹に激痛が走る。

「紛らわしい傘持ちやがって、組長じゃねぇぞ！」

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病室で目を覚ます。ぼやけた視界の先に目を腫らした君がいた。

「頑張ったね。隆。」
震え声の彼女の指にリングが光る。