喫縁(きつえん)
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爺ちゃんの三回忌に爺ちゃん家に来た。和室に行くと、父さんや叔父さん達の煙草の煙で部屋はいっぱいになっていた。僕はその白い煙の中に死んだはずの爺ちゃんを見つけた。
「お父さんは喫縁(きつえん)中なの。煙は縁となって形になるのよ」
母さんが言った。
爺ちゃんの体は輪郭がユラユラ揺れて頼りない。父さん達が煙を出すと、爺ちゃんの体が色濃くなった。
「おう。こっちこい」
突然、爺ちゃんが呼んだ。
「喉渇いたろ?」
そう言って爺ちゃんが差し出したコップの水を口に含んだ。すると、変な匂いが鼻を通り、舌に焼けるような痛みが走った。
「ゲホ! これ、おさけだよ!」
「がはは!」
思いだした。爺ちゃんはこんなしょうもない悪戯が好きな人だった。
でも、そんな爺ちゃんが口を広げて笑う姿を、大人たちは嬉しそうに見つめて煙を吐いている。
そのとき、僕は初めて早く大人になりたいと思った。
「お父さんは喫縁(きつえん)中なの。煙は縁となって形になるのよ」
母さんが言った。
爺ちゃんの体は輪郭がユラユラ揺れて頼りない。父さん達が煙を出すと、爺ちゃんの体が色濃くなった。
「おう。こっちこい」
突然、爺ちゃんが呼んだ。
「喉渇いたろ?」
そう言って爺ちゃんが差し出したコップの水を口に含んだ。すると、変な匂いが鼻を通り、舌に焼けるような痛みが走った。
「ゲホ! これ、おさけだよ!」
「がはは!」
思いだした。爺ちゃんはこんなしょうもない悪戯が好きな人だった。
でも、そんな爺ちゃんが口を広げて笑う姿を、大人たちは嬉しそうに見つめて煙を吐いている。
そのとき、僕は初めて早く大人になりたいと思った。
その他
公開:21/04/29 14:35
更新:21/04/29 21:39
更新:21/04/29 21:39
縁
ボツ
マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。
100 サクラ
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