春来る
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ノミの心臓を持ち、ノミの脳みそを持つ男、渾名ノミオは、ピンク色の小さな丸いシールを台紙に貼った。終わった、ノミオは心で小さくガッツポーズをした。3年越しの達成であった。
今年もやってきた「ヤマザキ春のパンまつり」。
一昨年は期間誤認で2点足らず、昨年は己の計算ミスで僅か0.5ポイント足りず、二年連続で悔しい思いをしていた。
1点、2点…、ノミオは、そのキャンペーンのシール貼付台紙を眺めては、合計が確かに28点になっていることを幾度も確かめた。そしてそれをなくさぬよう財布に大切にしまった。
時は流れ、ノミオがコンビニでお金を払おうとした時だった。財布の中からあの台紙が彼を覗いていた。彼は、“ほれ、どうだ”と言わんばかりに、店員さんにそれを差し出した。
「あのー、白いお皿の引換期間 とっくに過ぎてます。もう在庫ありませんよ」
ガーン。ノミオの脳みそに衝撃が走った。おぉノミよ、彼を救いたまえ。
今年もやってきた「ヤマザキ春のパンまつり」。
一昨年は期間誤認で2点足らず、昨年は己の計算ミスで僅か0.5ポイント足りず、二年連続で悔しい思いをしていた。
1点、2点…、ノミオは、そのキャンペーンのシール貼付台紙を眺めては、合計が確かに28点になっていることを幾度も確かめた。そしてそれをなくさぬよう財布に大切にしまった。
時は流れ、ノミオがコンビニでお金を払おうとした時だった。財布の中からあの台紙が彼を覗いていた。彼は、“ほれ、どうだ”と言わんばかりに、店員さんにそれを差し出した。
「あのー、白いお皿の引換期間 とっくに過ぎてます。もう在庫ありませんよ」
ガーン。ノミオの脳みそに衝撃が走った。おぉノミよ、彼を救いたまえ。
ファンタジー
公開:21/05/01 05:55
更新:21/05/02 07:15
更新:21/05/02 07:15
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