ドクターXの静かなる怒り

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「…これはひどく折れてますね」
画面を見た医師は気の毒そうに言った。傍の女性がびくりと肩を震わせる。
「相当強い衝撃だったんでしょうね。これは安静が必要です。お仕事なんてとんでもない。ちゃんと診断書を出しますからご心配なく。大変でしたね」
女性はすすり泣きながら診察室を出ていった。

医師はため息をつく。
きっと手ひどくやられたのだろう。
職場でも学校でも、世の中には弱い者を見つけると、舌舐めずりして攻撃したがる輩がいる。相手が萎縮し、打ちひしがれるのを眺めつつ、悪魔の笑みを浮かべて優越感にひたるのだ。

ひどく心を折られた被害者は、病んでいるとレッテルを貼られ、自信を失くしていく。だが真に病んでいるのは、人を傷つけて楽しむ彼等の方だ。なのに彼等は平然と社会に君臨する。学校や職場、家庭を追われて居場所を失うのは被害者なのだ。

医師は怒りを込めて呟いた。
「―病んでいるのは、おまえの方だ」
その他
公開:21/04/26 17:06
更新:21/04/26 17:07
しばらく体調不良にて 諸々お休みしておりました そろそろ少しずつ 再開していきたいです 明日は拙作『銀色の桜』が 朗読して頂けます(嬉) 『町田政則の語りの小部屋』 20:00〜 調布FM 朗読は多分終わりの方です #116

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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