もう一人の君へ
0
3
「おはよう」
私が声をかけても、彼は答えてくれない。動きもしない。
「今日はクマがひどいね……ニキビも増えた?」
彼は答えてくれないが、ぺたぺたと顔に触れて確かめている。
私は何となくため息をつき、蛇口を捻る。透明なのによく見える水が、シンクに落ちた抜け毛を絡み取りながら、排水溝に流れ込む。
水を手で受け止めて、顔を洗う。冷たくていい気持ち。
排水溝を見つめたまま、右手で藻掻くようにしてタオルを探す。
顔面の水を拭き取ると、再び彼と目が合う。
「はぁ……お前はいいよね」
タオル掛けにタオルを戻す。不細工な見た目にならないように気を付けて。
床に水滴が落ちているのに気が付いた。スリッパで踏みつけてしまおうかと思ったが、思いとどまって、ティッシュペーパーで拭き取る。
「いつになったら、変わってくれるんだよ」
私は汚いティッシュペーパーをゴミ箱に捨てる。
私が声をかけても、彼は答えてくれない。動きもしない。
「今日はクマがひどいね……ニキビも増えた?」
彼は答えてくれないが、ぺたぺたと顔に触れて確かめている。
私は何となくため息をつき、蛇口を捻る。透明なのによく見える水が、シンクに落ちた抜け毛を絡み取りながら、排水溝に流れ込む。
水を手で受け止めて、顔を洗う。冷たくていい気持ち。
排水溝を見つめたまま、右手で藻掻くようにしてタオルを探す。
顔面の水を拭き取ると、再び彼と目が合う。
「はぁ……お前はいいよね」
タオル掛けにタオルを戻す。不細工な見た目にならないように気を付けて。
床に水滴が落ちているのに気が付いた。スリッパで踏みつけてしまおうかと思ったが、思いとどまって、ティッシュペーパーで拭き取る。
「いつになったら、変わってくれるんだよ」
私は汚いティッシュペーパーをゴミ箱に捨てる。
その他
公開:21/04/25 20:38
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます