犬の人生

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猫は長いこと単独で自らを楽しむ人生を送ってきた。一方犬は上下関係が厳しい犬世界で、まるで人間のサラリーマン社会の様に気を使いながら、生きてきたのが程々嫌になっていた。
尻尾を激しく振ったりしオーバーアクションで飼い主に媚を売るのも、本当に自己の存在に必要な行為かと疑問に感じた。
猫は常に仲間や飼い主の機嫌を伺う事もなく、またその必要も感じてるとは思えない。好き嫌いを素直に表情に出す事に何ら躊躇せず、淡々と生きている様に思える。
こんな素晴らしい人生を猫は生きているんだと、犬は大変羨ましく感じた。

犬は自分は無意識に無用な争いを避けようとしたり、仲間との協調を第一と考え、敢えて社交的な振る舞いも続けてきたが、もう疲れ切ってしまったのだ。
明日からは、俺は犬を辞めて自由奔放な猫になるのだと天に誓った。
翌朝目が覚めると何故かニャオーとしか言えない。これこそが俺の理想の人生だと確信した。
ファンタジー
公開:21/04/27 06:06

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