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散歩中、小川を流れる桜の花びらに和んでいた。
花いかだって言うんだっけ。小さい頃追っ掛けた事を思い出す。途中で諦めたけど、あの花はどこまで行ったのかな。なんてノスタルジーに浸ってたら、
「もし、そこな人」
川の中から時代がかった声がした。
「そこな人って、俺の事っスか?」
「いかにも。貴殿を男と見込んでお頼み申す」
木の枝に引っ掛かった花びらの上で、ちっこいサムライが頭を下げた。
リアル一寸法師見ちゃったよ。超現実過ぎて逆に冷静な俺。花びらごと掬い、サムライを掌へ。
「暇だから良いけど、頼みって何?」
「都へ上らんと船出したが、浅瀬に櫂を取られてこの様よ。済まぬが貴殿の力で……」
拾っちゃったものは仕方ない。櫂になりそうな棒を探し、流れの広いとこへ移そうとしたら、
「いやいや、それには及ばん」
なぜか拒否るサムライ。
「最寄りの駅まで送ってくれ。ついでに電車賃も」
……そこは現実なんだな。
花いかだって言うんだっけ。小さい頃追っ掛けた事を思い出す。途中で諦めたけど、あの花はどこまで行ったのかな。なんてノスタルジーに浸ってたら、
「もし、そこな人」
川の中から時代がかった声がした。
「そこな人って、俺の事っスか?」
「いかにも。貴殿を男と見込んでお頼み申す」
木の枝に引っ掛かった花びらの上で、ちっこいサムライが頭を下げた。
リアル一寸法師見ちゃったよ。超現実過ぎて逆に冷静な俺。花びらごと掬い、サムライを掌へ。
「暇だから良いけど、頼みって何?」
「都へ上らんと船出したが、浅瀬に櫂を取られてこの様よ。済まぬが貴殿の力で……」
拾っちゃったものは仕方ない。櫂になりそうな棒を探し、流れの広いとこへ移そうとしたら、
「いやいや、それには及ばん」
なぜか拒否るサムライ。
「最寄りの駅まで送ってくれ。ついでに電車賃も」
……そこは現実なんだな。
ファンタジー
公開:21/04/23 21:56
散歩道で見た
シーズン4-⑤
花弁の旅人
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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