炎症
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嫌いな上司には殊勝なふりをしながら舌を出す。勿論マスクの中で。
チクリと頬に刺すような痛みを感じた。トイレの鏡の前でマスクを取ると、頬に赤いニキビがぽつりぽつりと出来ていた。ガーゼマスクでも、何度も洗えば肌触りは悪くなる。マスクの内側に赤いラインがうっすら入っているのに気づいた。口紅の着色だろう。そろそろ買い換えるタイミングだとマスクをつけた。
頬にあたる嫌な感触を我慢しながら、仕事をこなしていく。帰りに薬局に寄ろうと思っていたのに、嫌いな上司に仕事を押し付けられてしまった。思い切り罵る言葉を口パクで吐きながら、微笑んだふりをした。
頬が痛い。家に帰りマスクを取ると、また赤いニキビが増えていた。明日こそ薬局に寄ろうと、マスクを手洗いする。赤いラインは何度洗剤をつけても取れず、ますます赤くなっていく。まるで、口のようだ。鏡に写った自分の頬に赤いラインがすっと開いて何かを叫んだ。
チクリと頬に刺すような痛みを感じた。トイレの鏡の前でマスクを取ると、頬に赤いニキビがぽつりぽつりと出来ていた。ガーゼマスクでも、何度も洗えば肌触りは悪くなる。マスクの内側に赤いラインがうっすら入っているのに気づいた。口紅の着色だろう。そろそろ買い換えるタイミングだとマスクをつけた。
頬にあたる嫌な感触を我慢しながら、仕事をこなしていく。帰りに薬局に寄ろうと思っていたのに、嫌いな上司に仕事を押し付けられてしまった。思い切り罵る言葉を口パクで吐きながら、微笑んだふりをした。
頬が痛い。家に帰りマスクを取ると、また赤いニキビが増えていた。明日こそ薬局に寄ろうと、マスクを手洗いする。赤いラインは何度洗剤をつけても取れず、ますます赤くなっていく。まるで、口のようだ。鏡に写った自分の頬に赤いラインがすっと開いて何かを叫んだ。
ホラー
公開:21/04/23 14:29
マスク
口裂け女②
鏡
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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