蒲公英(タンポポ)侍

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拙者は、蒲公英侍の弟子じゃ。放浪の旅を続けておる。
人間の子供が吹いてくれたお蔭で、かなり遠くまで飛んでくることができた。
今は背丈が小さく未熟な綿毛と種の姿であるが、このあたりでそろそろ根を張ろうと考えておる。
あそこの道端が、武士道を貫く修業の場にちょうどいい。
あの道端だと、人間や犬猫などに適度に踏まれ、蒲公英侍に必要な鍛錬を身に付けることができる。
また、これからの梅雨や台風、冬の季節でも強い雨風、雪に耐え忍び、たくましく成長できる。
それに、ある程度目立つところのほうが後々都合がいい。
来年の春には大成して黄色く開花し、すべてを体得した蒲公英侍となる。
そして、無数の綿毛が集まった白髪姿の長老になったところで、背筋を伸ばし、寿命が尽きる最期まで大勢の弟子たちを拙者のように旅へと送り出そう。
では、これから落下傘のようにふわふわと地上に舞い降り、立派な蒲公英侍になってみせようぞ!
青春
公開:21/04/25 07:06
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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