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「一目見た時から運命を感じていました。僕と付き合って下さい」
夫はそう言って私に告白してきた。

「あなたを一生幸せにします。僕と結婚して下さい」
夫はそう言って私にプロポーズしてきた。

それを人に話すと『随分と安っぽいセリフで口説かれたのね』と笑われる。それの何がいけないのだろう?
夫は口数の少ない人だ。そんな人が思い切って言ってくれた言葉。嬉しくないわけがない。
それに沈黙は金とも言う。私はドケチなのだ。安っぽいセリフ?大歓迎だ。
お高く着飾った言葉よりよっぽど分かりやすく私の心に響く。
それに夫は結婚記念日や私の誕生日を毎年祝ってくれる。安っぽいと言われるセリフを私にプレゼントしてくれる。
なら、私は夫が心に貯め込んでいるであろうセリフを勝手に使わせてもらおう。そこに気持ちも上乗せしてやろう。
この日ばかりは沈黙を破り、言葉の散財をしようではないか。
言葉とは使う為にあるのだから。
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公開:21/04/24 21:09

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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