色とりどりの人間

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この世界の人間は色をまとっている。
それは服でもなく、オーラでもない。
だが、色でその人間が何者か判別ができるのだ。
だから、この世界には証明書がない。
まとっている色が証明しているのである。

同士は色を見れば瞬時にわかる。
人間関係を育むのはとても楽だ。

機嫌が良い時は色は鮮やかになり、機嫌が悪い時は色がくすむ。
機嫌を隠すことができないのは厄介だ。

善行を働けば、色は鮮やかなうえ、金粉が舞い、悪行を働けば透明になる。
だから犯罪は少ない。

家族が同じ色とは限らない。
赤✕青の両親からは紫の子供が生まれる。

こうして交配されることで、何百年にも渡り、この世界には沢山の色が生まれてきた。
そしてこれからも、どんどん色は増え続けていく。
その他
公開:21/04/24 20:42

天野花( 北海道 )

「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座」を読みながら、執筆活動を頑張り始めたところです。

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