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各停列車の窓から見える田園風景は、先ほどのビル群と同じ県とは思えないほどの別世界に思えた。山吹色の景色に目を細めてリュックから出した水筒で麦茶を飲む。必要なものを詰めた鞄は古いカメラのせいでやけに重い。
パンを一切れ齧る。ナイフもランプもないけれど古いアニメの曲を思い出す。
仕事に、人間関係に、または陰鬱な己に嫌気がさしたのか、頭がおかしくなってしまったのだろう。ある日、カメラを覗くと見知らぬ景色が見えるようになった。大きな木と見知らぬ男性。カメラを覗けばいつでも彼に会えた。
私は今、旅をしている。傷だらけで、錆びてシャッターも切れない、無駄に重いだけのカメラが見せる見知らぬ景色だけを目指して。
どこをどう歩いたのか思い出せない。私は気付けばそこにいた。大きな木の下に彼が立っている。
彼は会釈した後、優しく言った。
「祖父のカメラあなたが持っていてくれたんだね。」
パンを一切れ齧る。ナイフもランプもないけれど古いアニメの曲を思い出す。
仕事に、人間関係に、または陰鬱な己に嫌気がさしたのか、頭がおかしくなってしまったのだろう。ある日、カメラを覗くと見知らぬ景色が見えるようになった。大きな木と見知らぬ男性。カメラを覗けばいつでも彼に会えた。
私は今、旅をしている。傷だらけで、錆びてシャッターも切れない、無駄に重いだけのカメラが見せる見知らぬ景色だけを目指して。
どこをどう歩いたのか思い出せない。私は気付けばそこにいた。大きな木の下に彼が立っている。
彼は会釈した後、優しく言った。
「祖父のカメラあなたが持っていてくれたんだね。」
その他
公開:21/04/21 14:25
更新:21/04/21 14:34
更新:21/04/21 14:34
壊れたカメラシリーズ③
空津 歩です。
ずいぶんお留守にしてました。
ひさびさに描いていきたいです!
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