ガラスの小瓶

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朝、布団の中で微睡んでいると彼が慌てた様子でやってきた。
「どどどどうしよう…今日、母さんがウチに来る。しかもお見合いしなさいって」
「断ればいいじゃない」
「それが出来ないんだよ!しちゃいけないんだよ!」
彼の手元を見ると空の牛乳瓶。そういう事か…
どうやら彼はうっかり牛乳便せんを飲んだようだ。これは書かれた条件の飲ませる魔法のアイテム。
ふぅん…彼の母、そんな強引な手を使うんだ…なら私も強引な手を使わせてもらうわ。

午後、彼の母がやってきた。私は冷蔵庫から取り出したスイカにかぶりつく。完食すると彼の母の前に出て言い放った。
「私、彼と婚約しました」
「あら貴方、婚約したの?じゃあ、お見合いはしなくていいわ」
彼が驚いている。私と母の不仲を知っているからだ。
さらに「ああ、来月には籍も入れる」と発言した自分に驚いている。
私が食べたのは言霊スイカ。発言を現実にする魔法のアイテムである。
ファンタジー
公開:21/08/01 20:12

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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