コーヒーの矜持

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私はコーヒー。ただのコーヒーではない。
ブラックコーヒーだ。私の誇りだ。

長年、この喫茶店で提供されていて、変わらぬ味が魅力だ。
「ブラックコーヒーこそが王道!」そう、思っていた。

隣にお洒落な喫茶店が開店した。マキアートが売りらしい。この店にもマキアートはあるのに、次第に客足が遠のいていく。
何故売れない?マスターは頭、私は豆を抱えた。ふと、来店した若い人達の声が耳に入る。
「隣の砂金マキアートの方がおいしいね!」「それな!」

マスターも試飲した。
「マキアートにならないか?ブラックコーヒーである以前に君は上品なコーヒー豆だ。形は違えど、君自信の味は昔のままだ。砂金を加えれば、君の王道の味に箔がつくと思わないか?」

私はコーヒー。ただのコーヒーではない。
変化自在のコーヒーだ。私の誇りだ。
今日はマキアート、明日はフラペチーノ。
「マスター!砂金はどこだ?今日もまぶしてくれ!」
その他
公開:21/08/01 12:38
つい砂金を探してしまうコーヒー コーヒーの矜持 コーヒー 砂金

じゃそ( 関東 )

IT企業で働いているペルー人です。
ときどきショートショート書きます。
外国人でもショートショートが書ける!と思っていただけると喜びます。

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