天のサイウリ

私が人間だった頃、好きなことは食べることだった。あれから数千年も経ち、私は転生して天界に住む神となっていた。天界では、飢餓状態の人間を救うべく秘密裏に風船の中に食べ物や飲み物を入れて、地上に送るというプロジェクトを進めていた。その風船は固くできており、見た目に反して天界から緩やかに地上へ落下する。人間は風船をスイカのように割って食を手にすることから、これを「天のサイウリが落ちてきた」と表現したらしい。このプロジェクトが古の物語とは、現在の人間は知る由もない。現在の地上は、温暖化により消滅しているのだから…