1ぺろ2ぺろ

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犬は1玉だっけ。1丁だっけ。
暑さからか、夏になると私は動物の数え方がわからなくなる。アルバイトをしているほうじ茶カフェの裏口で週末にたまった骨壺をカートに積んでいると犯罪に加担しているような後ろめたさが冷たい汗となって背中を流れる。骨壺の数は13棟。違う。13畳かな。13発かな。真夏の太陽と耳鳴りみたいな蝉の声。暑さでものの数え方もわからなくなった。早上がりした店長が森の入口で指揮棒を振りながら蝉や鳥とオーケストラごっこをしている。なんて無邪気でかわいいひとだろう。
カフェぴんぽんぱーんは森の火葬場の中庭にあって、骨壺はお客さんが店のトイレに忘れていったものだ。週明けにまとめて交番に届けるのが私の仕事。食材と同じ場所に骨壺を置くわけにはいかず普段は休憩室が納骨堂がわり。少しでも私が和めるようにと優しい店長が休憩室で2ぺろのイグアナを飼っている。バイト先の店長に恋をするのはこれで3冊目だ。
公開:21/08/02 14:02
更新:21/08/02 14:14

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