とんかつ列車

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薄曇りの空。見上げると雲が満遍なく散りばめられている。今日の天気の神様はA型なのかな。

今日は休日。時間の使い方は下手くそだけど、それでも僕は今日を僕の為に使いたい。

だから今日はとんかつ列車に乗る。
2年ぶりくらいかな。

さくっと列車に乗り込む。

僕以外には誰もいないみたいだ。まあこんな時代にわざわざとんかつ列車に乗ろうだなんて、自分でも酔狂だと思うよ。

列車はのっそり動き出す。

時速はカバの二、三倍。乗り心地は馬の二、三倍悪い。

気を紛らわす為に、僕は窓を開けて流れていく景色を見るともなく見る。

空は一層暗くなって、いよいよ雨が降ってきた。ちょうど傘を差すくらいかな。
とんかつの衣が湿ってどうにも座り心地が悪い。ああ、何度ポジションを変えてももうダメだ。

お惣菜おばさんが歌っている。

僕はとんかつ列車の中でどんどん増殖している。

おにぎりもちらほら降ってきている。
ファンタジー
公開:21/07/31 11:34
更新:21/07/31 11:47

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