電気妖怪かみなり

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突如、巨大な積乱雲が現れ、その中を飛行していた旅客機が墜落する事故が相次いだ。
軍用機が調査したところ、積乱雲の中に岩石が浮かんでいて、そこから発せられる雷のような光線に当たったことが墜落の原因とわかった。
岩石から軍用機にも光線が照射されたので、咄嗟に機体をかわすと、岩石にミサイルを発射して応戦した。
すると、岩石から雷神らしきものが出てきた。これは、電気妖怪かみなりではないか。
怒り狂ったかみなりは、太鼓を鳴らしながら四方八方に電気を放ち、軍用機は命からがら積乱雲の外に脱出し、なんとか難を逃れた。
電球を発明したことで有名なエジソンの末裔が、大量の電気を吸収できる電球型の蓄電装置を開発した。
これを使って、かみなりがもつ電気をすべて吸い取ったところ、かみなりの体がみるみるうちに干からびて小さくなり、かみなり退治に成功した。
あとには、目を瞑りたくなるほど眩く光る電球が爛々と輝いていた。
その他
公開:21/07/31 07:04
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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