神がかった髪のJK

「またボサボサじゃない！」
起床してきた私に対し、この言葉が母の決まり文句だった。
私はパッとしない茶髪のJKだ。
でも、今日からは違う。なぜなら新しく
〈神ドライヤー〉を買ったからだ。
店員によると、朝のボサボサの髪が艶のある潤った髪になるのだとか…。
ドライヤーには髪ボタンと神ボタンがついている。説明書によれば、神の後に髪を押すらしい。
「まず、毛先にドライヤーを当てて…神ボタンをっと」
ボタンを押すと勢いよく、髪の毛が吸い込まれていく。
「ひゃあっ」
それと同時に水も噴射されている。
髪の毛どころか首までびっしょり濡れてしまった私は仕方なく髪のボタンを押した。
「ブォーーーン」
なんと心地いい温風だろう。温度も自動調節してくれている。
「いけない！！」
終業式に遅れそうだった私は急いで家を飛び出した。
「夏休みは気になるあいつを花火に誘うぞ〜！」
これが彼女の青春の物語の幕開けだ。