トイレの花子さん

2
3

「花子さん、遊びましょ」
私の呼びかけに『はぁい』という声と共にトイレの扉が独りでに開く。
足が震える。電灯が切れた薄暗いトイレ、個室の中は闇が蟠っている。
トイレの出入り口を見るといじめっ子達が「早く入れよ」と命令する。私は意を決して個室へと入った。

『いらっしゃい。何して遊ぶ?何でもいいなら桃鉄しない?今メンツ一人足りなくて困っていたんだ』
個室に足を踏み入れると、そこは四畳半の一室だった。
『早く座って。始めるよ』
床に寝そべる花子さんは黒縁眼鏡にえんじ色のジャージを着て手にはswitch。女子力も恐怖も0だ。
『桃太郎ランド買うまで帰さないからね』
私は花子さん達と思う存分遊んだ。花子さんと友達になって、学校が楽しくなった。

次の日からいじめっ子達が学校に来なくなった。
『あの子達なら話が通じない方の花子さんに遊ばれていたわよ』
さらりとジャージ花子さんが怖い事を教えてくれた。
ホラー
公開:21/07/31 19:51

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容