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こんなことになるのなら、ああ、私は、たった1人しか生きていない私は、ああ、絶対に言ってはいけないこと、口に出してしまったのですね。

どうかお願いします。
風も川も、高いところから低いところへ流れて行くのならば、どうか私の情けない、性根の腐りきったこの心臓の音も、一等低いところへ流してください。

私の小さな悲しみは、私の小さなプライドは、取るに足らない生活の彩りに耐えかねて……ああ、私はなんてことを。言ってはいけないことを言ってしまいました。

手のひらを握ることももうしたくありません。お水一滴だって、口に入れたくありません。

私は、たった1人しか生きていない私は……。

夢を見たのです。
紫陽花の夢です。
大くて鮮やかな青紫色の満開の雨侍らせた紫陽花の夢です。

私はただそれだけでもう、生きていけなくなりました。
その他
公開:21/07/31 18:45

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