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発明家の友人Pに新しい眼鏡をもらった。常識色眼鏡という。Pの説明ではわれわれは普段、物や景色をみるとき「常識色」でみている。常識色とは、空は青い、桜の花は薄紅色など、思い込みの色。ポスター、テレビや映画などの調整されたカラー画像に慣れて、実際の光よりも常識的な色をみる。空はそんなに青くなく、桜の花は白っぽい。しかし、とPは言う。常識色こそがわれわれの生活に彩りを与える。常識色がなかったら世界はモノクロの映画みたいに味気ない。常識色眼鏡は常識色を増幅する眼鏡である、と。
眼鏡をかけると街は鮮やかな緑の並木、ビルは格調高い建築。街ゆく人々は血色がよく笑顔。家に帰ると、妻の手料理の野菜、肉、卵が色鮮やかで食欲をそそる。妻の顔も生き生きと映る。食事が進む。
夜に妻を抱きたくなった。妻は異存なさそうで、
「その変な眼鏡まだかけてるの?格好悪いから外してよ」
「この眼鏡で、きみがピンク色に輝くんだよ」
眼鏡をかけると街は鮮やかな緑の並木、ビルは格調高い建築。街ゆく人々は血色がよく笑顔。家に帰ると、妻の手料理の野菜、肉、卵が色鮮やかで食欲をそそる。妻の顔も生き生きと映る。食事が進む。
夜に妻を抱きたくなった。妻は異存なさそうで、
「その変な眼鏡まだかけてるの?格好悪いから外してよ」
「この眼鏡で、きみがピンク色に輝くんだよ」
その他
公開:21/07/29 10:42
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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