無限ループ階段

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いつも健康の為にエレベーターを使わずに、11階の会社事務所までは階段を登っている。
今朝も会社ビルのエントランスを入り、正面のエレベータを横目で見て右端の階段に急ぐ。
時たま顔の見覚えのある人とも合うが、大概が4-5階辺りで消えていく。

ところが今日は階段を随分登った筈なのに、11階にまだ着かない。
そういえば階段に表示されている、階数パネルも見当たらない。
もう1時間近く登り続けている感じだ。フト腕時計を見るとビルに着いた時間から進んでおらず、まるで時間は止まっている。
現実の時間は停止しているのに、自分だけは階段を必死に登っている。
これは明らかにパラレル空間を移動しているのか、それとも妄想なのか?

その時、突然部長の怒鳴り声が聞こえた。「アイツは無断欠勤か、けしからん」と大声で怒鳴っている、ハッと我に返った。
お陰で無事に我が席に着けたが、大目玉が待ってたのは言うまでも無い。
ファンタジー
公開:21/07/29 10:04

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