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「都会の真ん中でハクビシンに出会ったんだ」
そう言ったところで一体どれくらいの人が信じてくれるだろうか。都環境局は家屋を荒らす外来鳥獣として捕獲などに努めているが、都民が駅前や住宅街で彼らの姿を見かけることは稀だ。
さて、話は数年前に遡る。友人の誘いで3対3の合コンに出席した時のこと。四十路を控えて婚活に勤しんでいた僕の目の前に、すらりとした狸顔の女性が座った。彼女は白玖(はく)さんという珍しい姓の持ち主で、どことなくミステリアスな雰囲気を漂わせていた。僕らはたまたま最寄り駅が同じだったので、帰り道を一緒に歩きながら会話の距離を縮めた。
「白玖さんって美人ですよね」
「ビジン? 私、実はハクビシンなの」
思わず立ち止まり、彼女の顔を二度見した。整った鼻筋が確かに白い。でも、信じられない。そのまま稲荷神社の近くまで来ると彼女は「おやすみなさい」と言って姿を消した。たった一夜の出会いだった。
そう言ったところで一体どれくらいの人が信じてくれるだろうか。都環境局は家屋を荒らす外来鳥獣として捕獲などに努めているが、都民が駅前や住宅街で彼らの姿を見かけることは稀だ。
さて、話は数年前に遡る。友人の誘いで3対3の合コンに出席した時のこと。四十路を控えて婚活に勤しんでいた僕の目の前に、すらりとした狸顔の女性が座った。彼女は白玖(はく)さんという珍しい姓の持ち主で、どことなくミステリアスな雰囲気を漂わせていた。僕らはたまたま最寄り駅が同じだったので、帰り道を一緒に歩きながら会話の距離を縮めた。
「白玖さんって美人ですよね」
「ビジン? 私、実はハクビシンなの」
思わず立ち止まり、彼女の顔を二度見した。整った鼻筋が確かに白い。でも、信じられない。そのまま稲荷神社の近くまで来ると彼女は「おやすみなさい」と言って姿を消した。たった一夜の出会いだった。
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公開:21/07/29 04:31
更新:21/07/29 04:53
更新:21/07/29 04:53
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2022年から米国在住。
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