夢枕に立つ

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「こういうこと、もうやめてください」
目に涙を浮かべた彼はそう言って私に背を向け去っていくーー
昨日と同じ所で夢から覚めた。
まだ夜中だが今夜ももう眠れないだろう。

起き出した私は一晩で『夢枕』を組み上げた。夢を操作して都合の良い幻想を見るための下らない玩具だ。
夢枕を抱え家を出る。動作試験も兼ねて研究室で一寝しよう。寝不足が続いている。

ソファに横たわり微睡んでいると枕元に人の気配がする。
「サボりですか。これ、お土産です」
「山形君…もうここには来ないかと思ったよ。この前のこと、魚の…怒っていたから」
「夏休みで実家帰ってただけですよ。悪いと思ったなら変なもの作ってないで直接謝ってください!」
「あ、そうか。ごめん」
「怒ってませんよ。それじゃ、他の人にも挨拶があるので」
背を向けて去っていくーー
リアルな夢だったな。

ふと夢枕を確認すると電源が入っていない…
山形君で再試験だ。
SF
公開:21/07/29 02:24
更新:21/07/29 02:29
耳タコ 秋田さん視点

まるちーず( チェンマイ(嘘) )

『ショートショートでひらめく文章教室』を読んで書き始めました。
文章書けるようになりたいです!!

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