ガラスの小瓶

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両親が離婚して、僕は会った事もない祖父母の家に預けられた。
両親と暮らしていた頃は何でもある都会で暮らしていた。それが今や何もない田舎暮らしだ。
Wi-Fiすら飛んでいない田舎に何の娯楽があろう?僕は毎日を無為に過ごしていた。
今日もアイツ…来るかな?引きこもりがちな僕を毎日尋ねる女の子。
いつしか僕は彼女が来るのを楽しみにしていた。彼女に出会っていなければ恋なんて知らなかった。ずっと田舎が嫌いなままだった。
彼女はいつものようにラムネ瓶を指に挟んでカチンカチンと音を鳴らしやってきた。汗を流すラムネは夏のごちそうだ。
全部がガラスでできた瓶ラムネ。これは一体どうやって中身を詰めているのだろう?
「あたしと結婚したら教えてやるよ」
僕の飲み終わったラムネ瓶を回収するとペロッと飲み口を舐めた。何で僕の方が照れているんだ!
あははと笑い、走り出す彼女を追って僕も外に出る。僕の新しい夏が始まった。
青春
公開:21/07/28 20:22

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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