お弁当係

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妻が死んだ。
照れ屋で不器用で頑張り屋で、いつも笑顔だった妻。闘病中、妻はずっと病室で本を読んだり、携帯を見たり。最後に何処へも連れて行ってやれなかった。入院前は私と娘の理沙に作ってくれた弁当を毎日SNSにあげていた妻。アカウントは「お弁当係」。
苦労しながらも毎日作ってくれた。苦労をかけた。私は妻を、幸せに出来たのか。
私はネットで「お弁当係」と検索してみる。SNSの他に「ショートショートガーデン」というサイトがヒットする。お弁当係の名で投稿される話に目を通すと、妻の好きだったカツカレーの話が出て来た。妻だ。病床の妻は弁当の代わりにSSを投稿していたのだ。
「最後に。読んでね」という話を見つける。
照れ屋で不器用で本が好きで。最後まで気持ちを語らなかった妻が残した最後の気持ちが、そこにあった。
段落の頭の字を読み繋げると、妻の笑顔が浮かんだ。

私は理沙を抱きしめ、いつまでも泣いた。
その他
公開:21/07/29 18:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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