ちんすこう

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「沖縄の、ちんすこうってあるじゃない?」
「あるね」
「あれってきっと、中国の沈水江って河のほとりで作られてたんだよ」
妻が何か語り始めた。
「その河は洪水も多くて、よく食糧難になってたの。だから保存が効くように、作物が採れた年は乾燥させた形で加工しておいたのね」
「琉球王朝は中国と国交があって、そこから伝わった?」
「そう。保存が効くと言うことは、船旅にも適している。船上での食糧にしていても不思議じゃないわ」
「たしかに。面白いね」
「きっとこの食べ物、元々は甘くなかった。でも琉球には砂糖キビがあった。後から味付けして食べられていたものが、最初から甘く味付けして作られるようになったのよ」
「なるほど。当時は砂糖も貴重、中国が琉球に国交を求めたのにも説明が付く」
「それでね…」

冷房のきいた部屋で、麦茶を飲みながら。友人の沖縄土産を頬張る妻との妄想談議は、夜通し続いた。
その他
公開:21/08/01 18:00
更新:21/07/29 16:34

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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