黄泉の風
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妻と二人、汗だくで買い物から帰ってきた。家のドアを開けると、この世のものとは思えないほど不快で暑苦しい空気が満ちていた。
「暑くて死にそうー」
外より暑いんじゃないかと思う室内。妻が入るのを躊躇っているが、そんな事をしていると買ってきた肉は腐り、アイスは全滅だ。妻の持っていた荷物を取ると、私は家に入り、まずエアコンのスイッチを入れた。
「ねぇ、知ってるー?」
私が買った物を仕舞っていると、妻がエアコンの前から話しかけてくる。
「エアコンって、天国のような心地の冷たい風が出てくる前に、生暖かい、気持ち悪い空気が出るじゃない?」
そうだね、と相槌を打つ。
「天国に行くためには、あんな気持ち悪い空気の地獄を通らなきゃいけないって事なんだろうね、きっと」
こちらを向く妻は、そんな地獄を通過するような憎々しい顔をしていた。
「私はこの風を、黄泉の風と呼ぶ…あぁぁ」
天国へ着いたらしい。…おのれ!
「暑くて死にそうー」
外より暑いんじゃないかと思う室内。妻が入るのを躊躇っているが、そんな事をしていると買ってきた肉は腐り、アイスは全滅だ。妻の持っていた荷物を取ると、私は家に入り、まずエアコンのスイッチを入れた。
「ねぇ、知ってるー?」
私が買った物を仕舞っていると、妻がエアコンの前から話しかけてくる。
「エアコンって、天国のような心地の冷たい風が出てくる前に、生暖かい、気持ち悪い空気が出るじゃない?」
そうだね、と相槌を打つ。
「天国に行くためには、あんな気持ち悪い空気の地獄を通らなきゃいけないって事なんだろうね、きっと」
こちらを向く妻は、そんな地獄を通過するような憎々しい顔をしていた。
「私はこの風を、黄泉の風と呼ぶ…あぁぁ」
天国へ着いたらしい。…おのれ!
その他
公開:21/07/28 18:00
2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
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