洒落っ気のある料亭

6
4

予約の電話をしたら半年先になると言われた料亭、牛の後ろ亭。今日が予約の日だった。
「ようやく、予約の日ってか」
豪奢なドアを開けると、給仕はカウンターのど真ん中へ私を案内した。両隣には、着飾った女性客。
「両手ぃに花、だな」
ちびちびと燗酒をやろうとすると給仕は頭を下げる。熱燗は扱わんという事らしい。やはりビールだな。
「かしこまりました。浴びぃる程、どうぞ」
先付の持ちぃ辛いチーズを苦労して食べていると、給仕が聞いてくる。
「この後は焼き味噌でよろしいですか」
この店は自家製の味噌が有名だ。私は頷く。
「やはり。味噌を頼みそう、と板前と話しておりました」

いやぁ、堪能した。途中、もやしを燃やしちまったりとハプニングはあったが、料理は勿論、駄洒落も申し分無かった。腕が違うんで、と語る板前が見送ろうとすると、給仕が止める。
「板前はそこにいたまえ」
最後の最後まで、堪能させてもらった。
その他
公開:21/07/27 18:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容