頬が落ちる

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秋田さんが僕にフランス料理をご馳走すると言い出した。
「一体どういう風の吹き回しですか?いつもは缶コーヒーも奢ってくれないのに」
「山形君に日頃の労いをしたいと思ってね。ただし、これを噛みながら食べてくれ」
こともなげに言う秋田さんにチューインガムを押しつけられる。
「いつもの実験台じゃないですか!ガムを噛みながら食事するなんてバレたら大変ですよ!」
しかし食欲には勝てず、僕はガムを口に含んでから店に入った。
口の中のガムと隣に座る秋田さんが気になるが、並んだ料理に一気に気分が上がる。
一口食べると口の中で幸福が膨らむ……いや、ガムと一緒に僕の頬が膨らみだした。
「ふぁ、ふへへ(痛っ、いてて)!」
膨らみきった頬がポタッとこぼれ落ちる。
それをキャッチした秋田さんが言った。
「これは『美味しさ』を閉じ込めておいて好きな時に味わえるガムなんだ!どんどん味わってたくさんストックを作ってくれ!」
SF
公開:21/07/27 00:54
更新:21/07/27 08:56
耳タコのふたり

まるちーず( チェンマイ(嘘) )

『ショートショートでひらめく文章教室』を読んで書き始めました。
文章書けるようになりたいです!!

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