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提灯の明かり、りんご飴で赤くなった口元をそっと拭う。祭囃子と下駄の音。境内は人で溢れている。
私は人を探していた。父だ。
違う。あの人じゃない。違う。営業職特有の早足、彼じゃない。違う。大学生、違う。巻尺を首から垂らしたスーツの男、違う。あれは堅気じゃない。喫煙所の男も違う。喫煙者ではない。マンガを読む男、違う。
父に会う為に母は私とこの街に来た。写真でしか見たことのない父に私はどうしても会ってみたかった。
花火もクライマックス直近。帰りの時間まであとわずかしかない。
スターマインが夜空に弾けた。光に照らされた横顔が目に飛び込む。
すぐにわかった。幼さの残るその青年が若かりし頃の父であると。
白いワンピースの母が私の肩を叩く。
「清子、もう時間よ。元の時代に帰りましょう」
坊ちゃんは文庫本を読んでくれただろうか。
帰りのタイムマシーンの中でふとそんなことが気になった。
私は人を探していた。父だ。
違う。あの人じゃない。違う。営業職特有の早足、彼じゃない。違う。大学生、違う。巻尺を首から垂らしたスーツの男、違う。あれは堅気じゃない。喫煙所の男も違う。喫煙者ではない。マンガを読む男、違う。
父に会う為に母は私とこの街に来た。写真でしか見たことのない父に私はどうしても会ってみたかった。
花火もクライマックス直近。帰りの時間まであとわずかしかない。
スターマインが夜空に弾けた。光に照らされた横顔が目に飛び込む。
すぐにわかった。幼さの残るその青年が若かりし頃の父であると。
白いワンピースの母が私の肩を叩く。
「清子、もう時間よ。元の時代に帰りましょう」
坊ちゃんは文庫本を読んでくれただろうか。
帰りのタイムマシーンの中でふとそんなことが気になった。
ミステリー・推理
公開:21/07/27 00:08
更新:21/07/27 00:20
更新:21/07/27 00:20
夏休みシリーズ最終回
ミステリーとは名ばかり笑
空津 歩です。
新シリーズ「人喰い病院」はじまりました。
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