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「こんにちは」
先に口を開いたのは、少年だった。
蒼猫の尻尾を茫然と見つめていた主人はようやく我に返り、少年に向き直る。
「こんにちは。探偵のセディとニールだ」
「わん」
姿勢を正し、会釈をする主人とわたし。
「突然の訪問に加え、先に挨拶を言わせてしまった事、お許し願いたい」
主人は少年が貴族の出であることは、見抜いていたようだ。
「構わないよ。今の僕は貴族じゃないから」
弱々しい声だが、どこか品を感じる語り口だ。
「猫さんなら、さっきまでそこに座ってたよ。捕まえないの?」
という少年の質問が来たところで、わたしは主人にもう追撃の意思がない事に気づいた。僅かな別離を経て、彼は完全に覇気を失っていたのだ。
「…それはどうしたの?」
主人は小さなテーブルを指し、少年に尋ねた。
「猫の忘れ物」
そこに乗っていたのは、まぎれもなく我々が蒼猫と共に追い求めていた黄石の蜂だった。
先に口を開いたのは、少年だった。
蒼猫の尻尾を茫然と見つめていた主人はようやく我に返り、少年に向き直る。
「こんにちは。探偵のセディとニールだ」
「わん」
姿勢を正し、会釈をする主人とわたし。
「突然の訪問に加え、先に挨拶を言わせてしまった事、お許し願いたい」
主人は少年が貴族の出であることは、見抜いていたようだ。
「構わないよ。今の僕は貴族じゃないから」
弱々しい声だが、どこか品を感じる語り口だ。
「猫さんなら、さっきまでそこに座ってたよ。捕まえないの?」
という少年の質問が来たところで、わたしは主人にもう追撃の意思がない事に気づいた。僅かな別離を経て、彼は完全に覇気を失っていたのだ。
「…それはどうしたの?」
主人は小さなテーブルを指し、少年に尋ねた。
「猫の忘れ物」
そこに乗っていたのは、まぎれもなく我々が蒼猫と共に追い求めていた黄石の蜂だった。
ファンタジー
公開:21/07/26 21:16
更新:22/08/30 01:47
更新:22/08/30 01:47
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連載
怪盗
探偵
犬
猫
まずは、こんにちは。
練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。
小説・脚本なども執筆してます。
【番号なし】 用語・設定解説
【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。
【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』
【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。
【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』
【001~】 短篇集『short TaleS』
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