ガラスの小瓶

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息子が庭の木にガラスの小瓶を括りつけていた。さらに木を削ってはそこに接ぎ木でもするように苺とバニラの蔓をくっつけている。
「天然の苺パフェ作っているの!」と息子は言う。
天然の苺パフェ?首を傾げる私に対し、ワクワクした表情で小瓶を見つめる息子。まあ、好きにさせてみよう。
その日から息子は毎日庭の木に氷をやるようになった。木が枯れないか心配だ。
1週間ほど経ち、小瓶を見てみるとその底が雫のように垂れ下がる形へと変化していた。しかも小瓶の中に白い何かが蓄積し始めている。まさか…ね。
1カ月後、息子に呼ばれ庭の木を見るとグラスに入った苺パフェが生っているではないか。
一口貰ってみると甘くて美味しい苺パフェだった。

私もパフェ作りを始めた。大きなガラスの器を木に括りつける。
1カ月後、完成した苺パフェを口にするも大味で美味しくなかった…
「甘さを凝縮するには小瓶にしなきゃ…」と息子に呆れられた。
公開:21/07/26 19:23

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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