目に入れても痛くない

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パソコンの画面を睨みながら報告資料を作成していると、後ろから肩を叩かれた。
「根を詰めすぎると目にも体にも毒だ。ここらでリフレッシュしないかい」
振り返ると目薬を手にした秋田さんが立っていた。
「今度は二階からでもさせる目薬ですか?」
「何を言ってるんだ。そんな無駄なもの作るわけないだろう」
返された言葉に白目を剥いている間に、右目に目薬をさされてしまった。
驚いて何度か瞬きしたが、痛くも痒くもない。普通の目薬のようだ。
「覗いてみてごらん」
受け取った手鏡で右目の様子を確認すると、目の中を小さな魚が一匹泳いでいた。
最初はぎょっとしたが、楽しそうに泳ぐ姿がだんだんかわいく見えてくる。
それから始まった奇妙なペットとの生活は意外にも楽しいものだった。
ある朝鏡を覗くと、目の中の魚は動かなくなっていた。そう言えば、この魚の寿命は二週間程度だと聞いた気がする。
僕の右目からポロリと涙が落ちた。
SF
公開:21/07/28 02:31
更新:21/07/28 02:44
耳タコ

まるちーず( チェンマイ(嘘) )

『ショートショートでひらめく文章教室』を読んで書き始めました。
文章書けるようになりたいです!!

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