妖精の標本
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夢見がちな女子の間で、近頃妙な趣味が流行っているらしい。
その名もフェアリウム。ドライフラワーをオイルに浸して作る、ハーバリウムの妖精版だ。
雲のない満月の晩、窓辺にガラスの小瓶を置き、一晩月光を当てると妖精が捕れる。そいつを瓶に閉じ込め、飾って楽しむという代物だ。
昆虫の標本なら僕も作った事があるが、生きたまま瓶詰めにするとは残酷だ。専門店には、装飾用のパーツやフェアリーオイル、ドライ妖精なるものまで流通しており、自作のフェアリウムをSNSに投稿するのが最新のトレンドなのだとか。
悪趣味極まりないなと思いつつ、妖精がどんな姿をしているのか見たくなり、満月の晩、手近にあったジャムの空き瓶を、ベランダの窓に出しておいた。
――夜明け頃。
鈴を振る様な美しい声が、瓶の中から聞こえてくる。
妖精が歌っているのか?心持ち胸を躍らせながら瓶の中を覗く。
立派な羽を震わせた、鈴虫のオスが一匹。
その名もフェアリウム。ドライフラワーをオイルに浸して作る、ハーバリウムの妖精版だ。
雲のない満月の晩、窓辺にガラスの小瓶を置き、一晩月光を当てると妖精が捕れる。そいつを瓶に閉じ込め、飾って楽しむという代物だ。
昆虫の標本なら僕も作った事があるが、生きたまま瓶詰めにするとは残酷だ。専門店には、装飾用のパーツやフェアリーオイル、ドライ妖精なるものまで流通しており、自作のフェアリウムをSNSに投稿するのが最新のトレンドなのだとか。
悪趣味極まりないなと思いつつ、妖精がどんな姿をしているのか見たくなり、満月の晩、手近にあったジャムの空き瓶を、ベランダの窓に出しておいた。
――夜明け頃。
鈴を振る様な美しい声が、瓶の中から聞こえてくる。
妖精が歌っているのか?心持ち胸を躍らせながら瓶の中を覗く。
立派な羽を震わせた、鈴虫のオスが一匹。
ファンタジー
公開:21/07/26 16:27
月の音色
月の文学館
テーマ:ガラスの小瓶
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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