忍者捕獲
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「もう、みかちゃん。ケンケンパやったでしょう。ちゃんと消してくれないと」
みかは素知らぬ顔で水色の三輪車をこいでいる。
ホースで壁に付いている汚れを洗い流す。また誰かが袋小路に気付かず塀に激突したらしい。ご近所さんはみかのケンケンパのせいだと笑う。規則的に並ぶ輪は童心を呼び起こすらしい。
「あら」
くにゃりと曲がった眼鏡にはレンズがはまっていなかった。
塀の向こうの畑からカラスの鳴く声がした。
「いやあね。カラスの仕業かしら」
その時塀の向こうから男の悲痛な叫びが聞こえた。カラスではなかったらしい。
「大丈夫ですか?」
「わっ!」
「驚かしてすみません。そこで何を?」
頭の中に野菜泥棒という文字が浮かぶ。
「酔ってて覚えてなくて」
塀の向こうから覗かせた顔には沢山の擦り傷があった。
「忍者?!」
目を輝かせるみかに申し訳なさそうに「ドロン」と言って頭を引っ込めた。
みかは素知らぬ顔で水色の三輪車をこいでいる。
ホースで壁に付いている汚れを洗い流す。また誰かが袋小路に気付かず塀に激突したらしい。ご近所さんはみかのケンケンパのせいだと笑う。規則的に並ぶ輪は童心を呼び起こすらしい。
「あら」
くにゃりと曲がった眼鏡にはレンズがはまっていなかった。
塀の向こうの畑からカラスの鳴く声がした。
「いやあね。カラスの仕業かしら」
その時塀の向こうから男の悲痛な叫びが聞こえた。カラスではなかったらしい。
「大丈夫ですか?」
「わっ!」
「驚かしてすみません。そこで何を?」
頭の中に野菜泥棒という文字が浮かぶ。
「酔ってて覚えてなくて」
塀の向こうから覗かせた顔には沢山の擦り傷があった。
「忍者?!」
目を輝かせるみかに申し訳なさそうに「ドロン」と言って頭を引っ込めた。
その他
公開:21/07/26 09:24
初投稿作品
ケンケンパより
空津 歩さま
真似してしまいました
SSG一周年
有難うございます
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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