飛行機飛んだ

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「空を飛ぶのって悪くないね」離陸した直後の会話だ。「後ろに飛んでいく滑走路を見た? あれ、上がるのに」
「僕は上がらない。僕よりも滑走路自身の方が上がっている位だ」
 彼女は気持ちが高ぶることを上がると表現する。たとえば動物園で一緒に象を見た時も「上がる! あの鼻を振り上げる姿を見るたびに私上がるんだ」と叫んだ。
「滑走路を見て滑走路程度に上がらないの? 滑走路って物だよ。物よりも上がらなくてどうする」
「生まれつき心が上がらない性格なんだ」
「私の付き合う人ならそこから直していかないとね」と言って彼女は笑った。
「滑走路程度には上がるように努力する」
「簡単よ」
「ひゅうー。ぱっ!」と僕は言った。
「それ何?」
「滑走路が後ろに飛んで、飛行機が飛び立つ瞬間、つかんでいた飛行機を重力の手で空に手放す音」
「上がった?」
「少しね」と僕は言った。
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公開:21/07/26 09:03
更新:21/07/26 09:16

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