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怪しい人がいると娘が耳打ちしてきた。
斎場へ行くと最後列に若い男性が座っている。
妻が私に駆け寄った。
「あの人お義父さんの知り合いにしちゃ若すぎない?」
まさか。本当だったのか。
「もし不審者だったら怖いから係の人に…」
「いや、大丈夫だ。俺が行く」と妻を制し男に近づいていった。
父は遺書を残していた。いわゆる家族で揉めそうな類のソレではなかった。
「葬儀に見慣れぬ男性が来ると思うが危害は無いので安心して欲しい」
1点の不可解な一文を除いて。
男は父の遺影を凝視している。
「あの。大変失礼ですが父とはどういったご関係で?」
男は立ち上がりこちらを伺った。二十代後半といった所か。
親族顔というのか他人とは思えない顔つきだった。疎遠になった親戚の息子だろうか。
男は私の顔を舐めるように見た。
「いえ…あの…失礼します」
男は足早に斎場を出ていった。
父の遺影が少し微笑んでいる様に見えた。
斎場へ行くと最後列に若い男性が座っている。
妻が私に駆け寄った。
「あの人お義父さんの知り合いにしちゃ若すぎない?」
まさか。本当だったのか。
「もし不審者だったら怖いから係の人に…」
「いや、大丈夫だ。俺が行く」と妻を制し男に近づいていった。
父は遺書を残していた。いわゆる家族で揉めそうな類のソレではなかった。
「葬儀に見慣れぬ男性が来ると思うが危害は無いので安心して欲しい」
1点の不可解な一文を除いて。
男は父の遺影を凝視している。
「あの。大変失礼ですが父とはどういったご関係で?」
男は立ち上がりこちらを伺った。二十代後半といった所か。
親族顔というのか他人とは思えない顔つきだった。疎遠になった親戚の息子だろうか。
男は私の顔を舐めるように見た。
「いえ…あの…失礼します」
男は足早に斎場を出ていった。
父の遺影が少し微笑んでいる様に見えた。
SF
公開:21/07/26 06:37
更新:21/07/26 06:38
更新:21/07/26 06:38
まずは自分が楽しむこと。
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