耳にタコができる

6
4

「山形君!ちょっとこれを付けてみてくれないか?」
そう言って秋田さんから渡されたのは一見ふつうのワイヤレスイヤホンだった。
「今度の発明品は何ですか?この前みたいな痛いやつは勘弁ですよ…」
恐る恐るイヤホンを付けてみたが何も起こらずホッとする。
「それは会話を学習して同じことを聞かされるとタコを生成するんだ!」
秋田さんの説明を聞いてまたかとため息を吐いた。彼は天才だが実用性のないガラクタばかり発明する。
「それって何の役に立つんですか…うわっ!」
秋田さんの耳から突然ニュルっとタコが出てきた。
「ちなみに私は昨日から付けている!」
タコを鷲掴みにした秋田さんが得意気に笑っている。
嫌な予感にイヤホンを外すより先に無慈悲に言葉が放たれる。
「金がない。金がない。」
「ヒィッ」
ニュルン、耳元からあり得ない音がしボタリとタコが床に落ちた。
「これでたこ焼き屋をやろう!原価が安くて儲かるぞ!」
SF
公開:21/07/25 22:10

まるちーず( チェンマイ(嘘) )

『ショートショートでひらめく文章教室』を読んで書き始めました。
文章書けるようになりたいです!!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容