無人駅にて

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男の子が私を見て笑う。私の前にレールを並べ、列車を走らせては楽しそうに笑う。
私は怪獣映画を撮る為に使われ、偶々壊れずに残った駅のジオラマ。私だけでは利用価値がないと段ボールに入れられ、ずっと存在を忘れられていた。
そんな私をこの坊やは見つけてくれた。そして遊びではあるが駅として使ってくれている。
凄く嬉しい。私にもまだ出来る仕事があるんだと思わず存在感をアピールしてしまう。
坊やはそれに気付いてくれた。私の前にヒーローの人形を並べてくれた。
凄く嬉しくて思わず彼らに話しかけた。私に話相手が出来た。
だが彼らは来なくなった…坊やがヒーローに飽きてしまい、捨ててしまったんだ…私もまた段ボールに入れられてしまった…
数年後、坊やは再び私に会いに来てくれた。その手には怪獣のぬいぐるみ。今はそれが好きなのか?
声にならない声で聞いてみる。それに答えたのは坊やの父。かつて私と遊んでくれた坊やだった。
公開:21/07/24 20:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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