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ある日、とても欲深いマゾのもとに悪魔が現れた。

「ふはははは、お前の望みを何でもひとつだけ叶えてやろう」
「あ、悪魔様、ちょうどいいところに! あのう、どうか僕をイジメて……。あ、いえ、イジメないでください。って言うか。つまり、僕の望みを絶対叶えないで欲しいんです」
「なぬ!? そ、それが、いわゆるひとつのお前の望みか?」
「はい」
「うーん。そうすると、どういうことになるのだ?」
「え。そんなの、僕が知るわけないじゃないですか。でも、僕のご主人様は、僕を簡単に悦ばせてくれるんですよ。悪魔さん、それくらい出来ないんですか?」
「ぬぬ、言わせておけば! よろしい、叶えよう」
「だから、叶えちゃダメなんですってば」
「あ、そうか。俺はいったいどうすればいいんだ……」

悪魔にはサドの才能がなかった。
ファンタジー
公開:21/07/24 15:42

みよしじゅんいち( 日本 )

サラリーマン。44歳です。

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