そっと覗いてみてごらん

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「お一人様ですか?3番テーブルどうぞ」
席に座ると、テーブルの真ん中を仕切るようにアクリル板が置いてある。ああ、感染症対策か。透明な板にサンドイッチを齧る自分のぼやけた影が写った途端、僕は目を疑った。
―動きが違う…?
写っているのは僕のはずなのに。
思わず板の向こうを覗き込むが、そこには誰もいない。その間にも影は一心不乱に食べ続けている。
やがて皿が空になると、影は満足したように伝票を掴み、上機嫌で姿を消した。
「3番さん、お帰りでーす」
…え?
皿を引いた店員は、僕にアルコールを吹き付けるとダスターで拭った。
「こちらのお席どうぞー」
…ちょっと!
だが僕の声は届かない。板の中で呆然とする僕の前に、次の客がさっさと座る。
マジかよ、畜生。こうなったら、奴より早く食べ終わって先に席を立つしかない。
早く皿が来ないかと厨房を振り返った時、目の前の客が呟いた。
「あれ?この影、俺と動きが…」
ホラー
公開:21/07/24 13:46
アクリル板に写った 自分の影が 真っ黒だったことから ふと思いつきました #127

秋田柴子

ご覧頂きありがとうございます。
2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
・坊っちゃん文学賞3本、愛媛新聞SS終了
・地元のSSコンテスト書き終わったら、長編の準備始めます

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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