ええじゃないか

此頃　都ニ　ハヤル物
疫病　空巣　振込詐欺
押売　ステマ　粉飾騒ギ
巣篭モリ　自粛　反ワクチン
仮想通貨成金　サロン信者
改ザン　忖度　責任逃レ

ある日の夕方、空から世相を風刺する大量のビラが降り注ぎ、あちこちの通りを埋め尽くした。警察は公衆の治安を脅かす行為であるとして迷惑防止条例の疑いで捜査に乗り出したが、人々は天からお札が降ってきたと喜び勇んだ。やがて夜になると「ええじゃないか、ええじゃないか」と囃し立てる集団が駅周辺の繁華街に押し寄せた。ハロウィンのような奇抜な仮装で熱狂的に踊る群衆が通りを占拠し、ゴザやシートに座って酒盛りを始めた。

「どうなってんだ。こりゃ暴動か」
警察署の中もパニックである。やがて署の外からドーン、ドーンと爆音が響く。窓を開けると、色鮮やかな花火が東の空を覆っていた。群衆は空を見上げて目を輝かせている。そこには、花火大会の日の平和な光景が広がっていた。