告白

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夜にお伺いします。置き手紙と控えめに添えられたブルーベル。
 朝が来るにはまだまだ夜のシーツは剥がせそうにない。水を少し口に含んでから窓辺の椅子に腰かけた。
 向こうの庭でブルーベルが春の兆しを奏で、揺れている様子を少し不安に思いながら眺めていると、黒い影がフラフラと現れる。
 きらきらと光が2つこちらを慎重に覗いていた。
「こんばんわ」
 長いものが手を振るように左右を行ったり来たり。
「こんばんわ」
 同じように後ろの長いものを揺らす。
ぬくぬくと立ち上がる影を月の光が優しく闇から掬い上げる。
「今日も月が、きれいですね」
 掠れた控えめな声がいつものように一言いう。
 ボロボロで煤だらけの彼が会いに来たのは3回目。私はなんだか緊張してしまって、声が少し震えて。
「にゃーう」
 
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公開:21/07/24 11:40

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