柴子のつぶやき④

23
11

『まあ結果は結果だ。潔く受け止めろ』
ぶっきらぼうな物語の口調に、私は無駄と知りつつ反論する。
「…去年よりいい出来だと思ったんだけどな」
『そんなことは関係ない。単におまえのより他の人の話の方が面白かったということだ』
予想どおりの言葉に思わず苦笑した。
「でももう一本出してあるから。今は書けば書くだけ力もつくしね。大変だけど」
今度は物語も頷く。
『まずは書き続けることだ。君の盟友である昨年の受賞者が言ってただろう?“落選した悔しさも受賞の喜びも挑戦者にしか判らない。挑戦者であらんとした人生を選択した自分を称えて、堂々と胸を張れ”と』
判っている。彼女もまた、幾多の悔しさを乗り越えて栄冠を掴んだのだ。いつか私もその背中に追いつけるのだろうか。
『…姿勢が悪いぞ』
うるさい、少しぐらい凹ませろ。
私は仲間が打ち上げてくれた労いの花火を眺めながら、手にしたドーナツにぱくりと食いついた。
その他
公開:21/07/21 11:12
更新:21/07/21 15:11
第三回 日本おいしい小説大賞 残念ながら今年は 最終候補に残れませんでした また次回頑張ります 応援下さった皆様に 心より感謝致します #127

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容