今年の精霊馬
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しょうりょううま。お盆の時に飾る、茄子や胡瓜で作るアレは、ご先祖様をお迎えしたり、お送りするための乗り物だと言う。馬だとか牛だとかに見立てて、交通手段になるのだと。
「馬やら牛やらで移動するって、いつの時代だ?」
私はいつも思ってしまう。
昨年は忙しく、精霊馬を飾ることもできなかった。不覚だった。きっとご先祖様も怒っているだろう。
だからこそ今年は、どこよりも立派な、最先端の精霊馬を作るのだ!
私は意気込んで、胡瓜と包丁を手に取った。
「よし、出来たぞ!」
見せてと聞いてくる嫁に、私は満面の笑みで披露する。
「見てくれ!胡瓜と茄子で作った、編隊を組むブルーインパルスだ!!」
細部に至るまで精緻に作られたそれは、五輪のシンボルを描く飛行機雲まで完璧に再現していた。
「本物よりも先に、五輪を描いてやったぜ!」
妻は旦那の奇行から目を背け、東京オリンピックの開会式を見る事にした。
「馬やら牛やらで移動するって、いつの時代だ?」
私はいつも思ってしまう。
昨年は忙しく、精霊馬を飾ることもできなかった。不覚だった。きっとご先祖様も怒っているだろう。
だからこそ今年は、どこよりも立派な、最先端の精霊馬を作るのだ!
私は意気込んで、胡瓜と包丁を手に取った。
「よし、出来たぞ!」
見せてと聞いてくる嫁に、私は満面の笑みで披露する。
「見てくれ!胡瓜と茄子で作った、編隊を組むブルーインパルスだ!!」
細部に至るまで精緻に作られたそれは、五輪のシンボルを描く飛行機雲まで完璧に再現していた。
「本物よりも先に、五輪を描いてやったぜ!」
妻は旦那の奇行から目を背け、東京オリンピックの開会式を見る事にした。
その他
公開:21/07/23 07:00
更新:21/07/23 02:35
更新:21/07/23 02:35
2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
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