仕上げは免疫賦活物質

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始業時間だ。今日もヒト型ロボット製作に取りかかる。工場の一角で数名の作業員が黙々と仕事を始める。
ロボットの電気エネルギー源は以前から議論されてきた。電気価格は高騰。蓄電池はロボットにはせいぜい一週間しか持たない。太陽光電池搭載ロボットはエネルギー変換効率が悪い。そこにロボット自体が電気以外を望んだ。人間と同じように食物からエネルギーを摂取したいという要求である。
開発されたのが消化器官を有するヒト型ロボット。まだ電気とハイブリッドだけれど、口から食べて栄養を摂取するロボットが増えている。ロボット製造工場では消化器式ロボットも作るようになった。
ロボットは普通は生産ロボットがロボットを作るが、消化器式は人手で作る。俺の仕事だ。作業台で一体ずつ丁寧に人工臓器の消化器官一式を組み込む。口から胃、腸、肛門までを組み入れる。最後に免疫賦活物質をスプレーで噴射し、免疫力をつけて出来上がりだ。
その他
公開:21/07/22 16:29

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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