かき氷屋さん

21
9

会議中に一人が失礼な発言をしてしまい、部屋の空気が凍った。
まるで本当に凍っているようだ……ん?
いつの間にか、目の前に大きな氷の塊があった。

「お邪魔しますよっと」
浴衣を着た知らない人が窓から入ってきた。5階なのに。
「誰!?」
「かき氷屋です。凍った空気専門のかき氷屋です」
言うが早いが、氷の塊をノコギリで切り分け、かき氷機にかけ始めた。

ごりごり、ごりごり
氷は細かくなり、雪のように容器に降り積もっていく。

「さ、どうぞ召し上がれ」
かき氷屋さんはその場の全員にかき氷を配った。
困惑しつつも、みんなで食べた。
何もかかっていないのに爽やかな味がして、少しずつ冷静になってきた。
「酷いことを言ってしまった。申し訳ない」
「ううん、私達もあんなに怒らなくても良かった」
自然とお互いに謝れていた。

「仲ではなく頭を冷やせたようで」
その言葉とともに、かき氷屋さんは去って行った。
ファンタジー
公開:21/07/18 21:12
夏ですね かき氷 食べたい

PURIN

超ド級の素人です。他サイト様でも書かせていただいています。
Twitter @maybePURIN

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容