無人駅にて

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「おや?今日はこちらで出勤ですか?」
駅のホームで電車を待っていると顔見知りの狼に声をかけられた。
『ええ、いつも使っている電車で出禁を言い渡されまして…』
「そりゃまた何で?何か問題でも起こしたんですか?」
『人違いならぬ狼違いですよ。前に電車で赤ずきんの狼が我慢できずに目の前の少女を食べようとした事があったようで…そのとばっちりを私も受けたんですよ』
ふぅ…とため息を吐けば線路の向こう、藁の家が吹き飛んで行った。
「そりゃ、災難でしたね。三匹の子豚の狼さん。まあ、私も同じように追い出された身ですけどね…」
『あなたは何が原因で?』
「私の場合は風評被害ですかね…手に白い粉を付けて子羊を騙そうとする私は教育上よろしくないようで…」
ぐ~…と七匹の子ヤギの狼の腹が鳴る。それを聞いて私も腹が減った。
御伽噺行きの電車が来た。私達狼は”人以外専用車両”に乗って今日も働くべきお話へと出勤する。
ファンタジー
公開:21/07/18 20:27

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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